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EVコンバージョンを目的とした非線形形状部品のリバースエンジニアリング手法の構築

印刷用ページを表示する 更新日:2016年12月19日更新

小西 毅(電子・機械グループ)、吉村 卓也、吉屋 英理、進藤 淳哉(首都大学東京)

1.はじめに

  本研究は、汎用的なEVコンバーションの構築方法を提案する。EVコンバージョンを実施する際の課題として電気駆動部品をいかに効率よく搭載するかが挙げられる。そのためには従来の自動車部品が搭載されていた箇所の寸法を計測し、部品の配置を考えるため、自動車の三次元データが必要である。これらを計測するには以下の技術的な課題がある。(1)高精度な三次元計測データの構築、(2)三次元計測データから三次元設計データへの高精度な変換、および(3)一般的に利用可能でかつ作業時間を短縮させたEVコンバージョン手法である。これらの課題について非接触3次元デジタイザーVIVID9i(コニカミノルタセンシング株式会社製)で自動車のエンジンルームとトランクの計測点群を取得し、精度の高い三次元設計データを構築する。これらの方法により上記の3つの課題を解決する。

2.測定とリバースエンジニアリング

  前述の3次元測定は、複数回点群の測定を実施し、その後これらのデータを合成する。その合成はICPアルゴリズムを用いた。エンジンルームの測定した結果は、図1に示す通りである。
  エンジンルームの重ね合わせた点群データからXORを用い、設計データを構築する。設計データの構築には、以下の手順で実施した。(1)初期メッシュからの特徴稜線抽出(2)特徴稜線を反映したメッシュ最適化(3)特徴稜線を反映した曲面のフィッティング  これらの方法でメッシュの最適化を実施し、特徴稜線を反映した曲面を作成した。その曲面を作成したのが図2になる。図2の曲面と図1の点群の最大差分は20mmであり全体寸法の5%以内であり、実用的であると考えられる。

 エンジンルームの点群データ
図1 エンジンルームの点群データ

エンジンルームの曲面作成
図2 エンジンルームの曲面作成

3.まとめ

  本研究の3つの課題についてまとめる。

  1. 三次元デジタイザーを利用し、ICP法を利用することにより、車のエンジンルームおよびトランクルームの三次元点群データを高精度に取得することができる。
  2. 三次元点群データから設計データに高精度に変換する手法を提案した。
  3. 測定した三次元点群データと設計データの全体偏差を示し、EVコンバージョンを実施することのできるデータであることを示した。

  また、この作業はリバースエンジニアリング初心者でも3次元設計データを作成することができる。本研究におけるデータ作成に費やした時間は約60時間であり、今後作業の時間短縮が課題となる。


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