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絹織物への膨潤剤を用いたプリーツ加工

印刷用ページを表示する 更新日:2016年12月19日更新

武田 浩司[発表者]、木村 千明、小林 研吾(繊維・化学グループ)

 1.はじめに

プリーツ加工とは、編織物へヒダ(折り目・プリーツ)を付ける加工のことでスカート、ブラウス等の製品に多く行われている。絹織物への従来のプリーツ加工法である湿熱処理や樹脂加工、撥水加工は、織物の硬化や水洗濯によりプリーツが簡単に消失する問題があった。絹織物の高付加価値化として、柔らかさとプリーツ性を両立させたプリーツ加工法の開発が求められている。そこで、膨潤剤を利用したプリーツ加工法を新規に開発した。

2.実験方法

  膨潤剤を用いてプリーツ加工した絹織物と、従来加工法である湿熱処理、樹脂加工、撥水加工を利用してプリーツ加工した絹織物を作製した。膨潤剤は尿素、エチレングリコール(EG)、ジメチルスルホキシド(DMSO)を使用した。従来加工法である湿熱処理では水、樹脂加工ではグリオキザール系樹脂、撥水加工ではフッ素系樹脂を使用した。各加工品と未加工品のプリーツ性と剛軟性を評価した。

3.結果・考察

  各加工品のプリーツ性と剛軟性を表1に示した。従来品の湿熱処理と撥水加工はプリーツ性が低く、樹脂加工は剛軟性が高く硬い織物となった。一方、開発品は高いプリーツ性と柔らかさを両立させた性能が得られた。使用した膨潤剤の中では尿素を利用してプリーツ加工された絹織物のプリーツ性が最も優れていた。さらに、図1に示すように洗濯後もプリーツ形状を保持した。

表1 試験項目
加工品/試験項目プリーツ性(級)剛軟性(N)
開発品尿素4.60.2
EG3.90.2
DMSO3.40.2
従来品湿熱処理1.10.2
樹脂加工50.9
撥水加工2.10.2
未加工-0.2
  • プリーツ性:JIS 1060:2006 7.3 C法(外観判定法)5級(プリーツ性が最も高い)から1級(プリーツ性が最も低い)で評価される。
  • 剛軟性:JIS 1096:2010 8.19.5 E法(ハンドルオメータ法)織物を押圧した時の抵抗値で評価される。

 

尿素を用いてプリーツ加工された絹織物の画像

図1 尿素を用いてプリーツ加工された絹織物 左:洗濯前  右:洗濯後

4.まとめ

  絹織物に膨潤剤を用いてプリーツ加工を施すことで、従来加工法では実現できなかったプリーツ性と織物本来の柔らかさの両立が可能となった。また、使用する膨潤剤の種類は尿素が適していた。

 


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