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固相接合法によるチタンと高比強度軽合金との接合界面組織

印刷用ページを表示する 更新日:2016年12月19日更新

 

青沼 昌幸[発表者](機械技術グループ)

1.はじめに 

  部品の軽量化および高機能化による省エネルギー化と、部品点数の減少による低コスト化は、近年注目されている課題である。これらを達成する方法として、特性の異なる金属材料を組み合わせた接合体の実現が挙げられており、異種金属複合化への市場の要求は高い。しかし、異種金属を溶接した場合、脆い金属間化合物が生成して十分な強度が得られないなどの問題が生じやすい。本研究では、高強度で耐食性が高いチタンに対し、特性が異なる高比強度軽合金を接合して、接合部の組織が接合強さに及ぼす影響を考察し、高強度な異種金属接合部の実現可能性について検討を行った。

2.実験方法

  表1に供試材の化学組成を示す。チタン合金は、α合金の純チタンおよびα-β合金のTi-6Al-4V合金を用いた。相手材には、高比強度アルミニウム合金のA2024-T3およびA7075-T651を用い、板厚は2mmとした。接合には、溶接法と比較して低入熱量の、固相接合法の摩擦撹拌接合法を用いた。SKD61製の接合ツールをアルミニウム合金側に挿入し、プローブがチタンを0.5mm切削する位置で撹拌して突合せ継手を作製した。接合後、走査型電子顕微鏡およびエネルギー分散型X線分光分析器(SEM-EDS)などを用いて、接合部の観察および分析を行った。

表1 供試材の化学組成
供試材の化学組成の画像

3.結果・考察

  接合部には、チタンとアルミニウム合金が混合された領域が認められた。接合速度の増加により、この混合領域の幅と面積は減少する傾向がみられた。また、接合速度の増加により、引張強さは増加する傾向が認められ、本研究においては、純チタンとA2024との接合部で高い引張強さが得られた。図1に、高い引張強さが得られた、チタンとA2024との接合部の、引張試験後の破断部断面のSEM像を示す。破断は主にチタンとA2024合金との混合領域で生じ、破断位置近傍では細かな割れが部分的に認められた。破断が生じた、画像上で明るい灰色に見える領域について、SEM-EDSにより分析を行ったところ、TiとAlが強く検出された。また、破断面の表面についてX線回折により評価した結果、チタン側の破断面では、TiAl3のピークが認められた。

引張試験後の破断部断面のSEM像の画像
図1 引張試験後の破断部断面のSEM像
(Ti/A2024接合部):(a)A2024合金側、(b)純チタン側

4.まとめ 

  チタンと高比強度軽金属との接合において、摩擦撹拌接合法により低入熱量条件で接合し、接合界面の組織を制御することで、接合強度の改善が可能であることが示唆された。

  ※本研究は大阪大学接合科学研究所「接合科学共同利用・共同研究拠点」共同研究員制度により実施した。

 


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