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表面プラズモン共鳴(SPR)センサによるγ-GTPの簡易検出技術の開発
中村 広隆[発表者](光音技術グループ)、秋元 卓央(東京工科大学)
1.はじめに
肝臓の解毒作用に関係している酵素としてのγ-GTPは、肝機能の指標として利用されている。この酵素(血液中のγ-GTP)を簡易に測定することができれば、肝機能障害の予防となる。そこで、本研究では、プローブ型SPRセンサを用いた血液中のγ-GTPの簡易検出技術の開発を目的とし、プローブ型SPRセンサの製作および性能評価を行った。
2.実験方法
プローブ型SPRセンサ(図1)を製作し、屈折率測定によるSPRセンサの感度評価を行った。屈折率測定の感度評価は、屈折率が異なるグリセリン溶液を作成し、各溶液をSPRセンサに滴化し、その時のSPRセンサの反射強度変化を測定した。またた、開発したプローブ型SPRセンサによるγ-GTPの測定を行い、検出能力評価を行った。
また、γ-GTPの検出能力を高めるために、2種類の分子量の異なるPEG分子を含む自己組織化単分子膜を用いて、血漿成分の吸着を抑制するためのブロッキング方法の検討を行った。
図1 製作したプローブ型SPRセンサ
3.結果・考察
屈折率測定によるプローブ型SPRセンサの感度評価では、屈折率感度として、1.7×10-3の屈折率感度を確認した(図2)。
γ-GTPの測定による検出能力評価においては、本開発におけるプローブ型SPRセンサでは50 U/L(3.8 ・g/ml相当)まで測定できることがわかった。しかし、これは健康な成人の最大値に相当するため、理想的には10U/L(0.77 ・g/ml)を測定できるだけの測定感度が必要であると考えられる。
血漿成分の吸着を抑制するためのブロッキング方法の検討では、一般的に使用されるBSAよりもブロッキングの効果が高い結果が得られた。
図2 プローブ型SPRセンサの感度評価
4.まとめ
プローブ型SPRセンサを製作し、屈折率測定によるSPRセンサ評価を行い、1.7×10-3の屈折率感度を確認した。また、検出能力評価では、50U/Lのγ-GTPの測定が可能であることを確認した。