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100%バイオマス成形材料を利用した商品開発

印刷用ページを表示する 更新日:2016年12月19日更新

 

木下 稔夫、神谷 嘉美、村井 まどか(表面技術グループ)、山内 友貴、木暮 尊志(システムデザインセクター)、
中山 哲哉(ヤマト化工株式会社[前日本パレットレンタル株式会社])、荒川 博史(ヤマト化工株式会社)

1.はじめに

  これまで都産技研では、漆と間伐材の木粉を成分とした100%バイオマス成形材料・成形体の実用化を目的とした基礎的研究を行ってきた。次のフェーズである商品化については、開発材料が特許(第3779290号)を取得している全く新しい材料であるため、用途、分野開拓も含め、立体造形体での検討を進めていく必用がある。そこで、企画から販売までのデザインプロセスを活用して商品化を行うことにより、市場展開の検討を図った。

2.内容および結果

  商品開発にあたり、漆器市場にどのような商品が存在しているのかを調査する必要があるため、検索サイトGoogleを用いて、「漆器」と入力した際の画像を解析し、漆器ポジショニングマップ(図1)作成することで、漆市場の傾向を把握できた。その結果、触れることで感じさせる漆の良さを伝えられ、共同研究企業の成形技術をベースにして技術検証を行えることなどから「ぐい呑み(おちょこ)」を制作することとした。デザインは、断面図(2次元)をもとに、SolidWorks2010によって3次元CADデータを設計した。ぐい呑みは、やや大振りの形状とし、上部に持ちやすくするためのくびれ部を有する3種のデザインを考案し、RP造形モデル製作などによる検討の結果、量産モデルをCに決定した。その後、100%バイオマス成形材料を用い、試作した専用金型を圧縮成形機に取り付け、成形条件を検討した結果、ぐい呑み形状の成形体が作成できた(図2)。作成した成形体には、漆塗り加工と蒔絵などによる加飾を行い、焼付硬化による性能向上も図った。商品は巾着に入れて、「Myおちょこ」として使える付加価値を加えたパッケージとした(図3)。

漆器ポジショニングマップ
図1 漆器ポジショニングマップ

3DCAD設計およびバイオマス成形体の製作の様子
        図2 圧縮成形機による製作(上)
ぐい呑みC形状成形体(左)、3DCAD設計およびバイオマス成形体の製作(右)

完成した商品「ぐい呑み(おちょこ)」の写真
 図3 完成した商品「ぐい呑み(おちょこ)」
漆塗りおよび加飾(左)、巾着を利用したパッケージ(右)

3.まとめ

  本研究により、企業と共同で保有している特許を活用して、商品を開発することができた。今後、商標の登録、展示会への出展を行い、ブランド化を推進する予定である。

 


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