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データ改ざん防止のための電子透かし挿入・認証方法および装置の開発
大平 倫宏[発表者]、山口 隆志(情報技術グループ) 、大原 衛(経営企画室)
1.はじめに
現在、様々な場面で電子データの受け渡しが盛んに行われている。その中でも、認証機関等が電子データを発行・配布するケースにおいては、配布した電子データが利用者によって改ざんされる問題があり得る。このような問題を解決するために、従来から、電子データに対する電子透かしの技術が研究されてきたが、未だ普及しておらず、また、3Dモデルデータに対する改ざん防止用途の電子透かしについては実質的に使用可能な方法が存在していないのが現状である。今回の開発では、画像に対する電子透かしシステムと3Dモデルデータに対する電子透かし方法の開発を行った。
2.開発方法
画像に対する電子透かしとしては、BitmapファイルからJPEGファイルへ変換する際に生成される量子化DCT行列へ透かし情報を埋め込む方法について実装を行った。また、そのインターネット上で透かし入り画像の発行・認証を可能にした。
3Dモデルデータに対する電子透かしとしては、STLフォーマット等に代表されるポリゴンでモデルが表現されるデータ形式に対する電子透かし方法を新たに開発した。方法としては、頂点全体を透かし情報を挿入する頂点とそれ以外の頂点に分類し、各透かし頂点に対してその隣接頂点の情報を用いて透かし情報を挿入する方法としている。
3.結果・考察
画像に対する電子透かしシステムについては、正しく透かし情報の挿入・認証が出来ていることを確認できた。
図1は都産技研システムデザインセクター提供の3Dモデルである。このモデルに対して、今回開発した方法を用いて透かし情報を付加したモデルと元のモデルを重ね合わせたモデルは図2となる。図2では、透かし入りモデルが元のモデルから突き出した部分が黒い斑点で表されているが、ほぼ、変化が生じていないことが見て取れる。
図1 電子透かし挿入前3Dモデルデータ | 図2 図1のデータと電子透かし挿入後の データを重ね合わせた図 |
4.まとめ
本報告では、画像と3次元モデルデータに対する電子透かしの開発を行った。これらの成果を利用することで、安全な電子データの配布および認証が可能となる。