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実用型共晶点実現の不確かさ評価
佐々木 正史[発表者]、沼尻 治彦、水野 裕正(実証試験セクター)
1.はじめに
現在の国際温度目盛(ITS-90)で定められている最高温度は銅の凝固点(1084.62 ℃)であり、それ以上の高温に関して、金属-炭素共晶点の技術を用いた標準化が進められている。一方、ガラス、半導体、鉄鋼、航空宇宙産業など1100℃を超える高温度測定技術の向上が望まれているにもかかわらず、民間事業者等への金属-炭素共晶点普及の足かせとなっているのが、新たな設備投資の負担である。金属-炭素共晶点の実現には、大型のセル及び共晶点実現装置など高価な専用装置の導入が必要となる。そこで平成18年度、産業技術総合研究所との共同研究で既存パラジウム点炉(Pd点炉)に設置可能な熱電対用小型コバルト-炭素共晶点セルの開発を行い、共晶点温度の実現や持ち回り試験による同等性確認など研究を続けてきた。本報告は、共晶点技術の信頼性確保を目的とし、実用標準としての実用型共晶点実現の不確かさ評価を行った結果である。
2.評価方法
本研究で使用した実用型共晶点セルは、高精度共晶点セルΦ50mmに対し、Φ32mmと小型であるため、当センターで所有しているPd点炉(内径34mm)に設置可能である(図1)。 表1に示すように、実用型共晶点実現にかかる不確かさ要因を挙げそれぞれ評価を行った。尚、本実験の温度測定には白金・パラジウム熱電対を使用した。 |
表1 不確かさバジェット表 |
3.まとめ
以上、実用型共晶点実現の不確かさ評価の結果、合成標準不確かさ27mKと小さく、十分に実用標準として利用可能である事がわかった。本研究における不確かさ評価の技術を活用することで、実用型共晶点セルの産業界での利用が望まれると共に、一層の共晶点普及が見込まれる。