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直流電流校正自動化システムの開発
水野 裕正[発表者](実証試験セクター)、遠藤 忠、吉広 和夫(MTAジャパン株式会社)
1.はじめに
製品の信頼性や安全性を確保するために、計測のトレーサビリティが重要となっている。電気関連製造業では基準器であるキャリブレータが定規として使用されている。このキャリブレータの直流電流(100μA、1mA、10mA、100mA及び1A)の校正と不確かさ評価を自動で行うシステムを開発したので報告する。
2.実験方法
直流電流校正システムの構成図を図1に示す。このシステムは USBGP-IBインターフェースによる自動校正システムである。直流電流の校正原理を図2に示す。直流電流の校正はキャリブレータからシャント抵抗器に校正対象である直流電流を流し、シャント抵抗器の両端に発生する直流電圧をディジタルマルチメータ( DMM )で測定し、 オームの法則により求めた。開発したシャント抵抗器は図3に示すように1kΩから100mΩの5つである。また、直流電流を校正する時の不確かさ要因を検討し、不確かさ評価を行った。
図1 直流電流校正システムの構成図
図2 直流電流の校正原理 | 図3 開発したシャント抵抗器 |
3.結果・考察
開発したシャント抵抗器の校正を行い、その標準不確かさは1.3ppmから2.0ppmであった。DMMの校正の標準不確かさは、2.6ppmであった。測定電圧のばらつきの標準不確かさは0.62ppmから0.86ppm であった。 これらの標準不確かさを考慮して求めた拡張不確かさと直流電流(100μA、1mA、10mA、100mA及び1A)の校正値の結果を表1に示す。拡張不確かさは6.2ppmから7.1ppmであった。
表1 直流電流の校正値と拡張不確かさ
4.まとめ
直流電流(100μA、1mA、10mA、100mA及び1A)の拡張不確かさを約7ppmで評価できるシステムが開発できた。この成果を技術相談や依頼試験の信頼性向上に活用していく。