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高電圧プローブを用いた電圧測定に関する一考察
黒澤 大樹[発表者](電子半導体技術グループ)
1.はじめに
依頼試験として電力用機器や電子機器に対し、直流、交流(商用周波数)及び雷インパルスの耐電圧試験を行っており、試験の信頼性が求められている。
本研究では、高電圧プローブを用いた電圧測定に関する実験を行い、測定技術の向上を目指した。
2.実験方法
本研究で使用した機器を表1に示す。実験で使用した高電圧プローブはプローブ校正器により、1kVの直流電圧及び方形波により補正をした。その後、直流、交流及び雷インパルス電圧の測定について実験を行った。
直流及び交流電圧については、校正のとれた発生器を用いて、1から10kVの測定精度の確認をした。雷インパルス電圧については、方形波の立ち上がり部を用いて、測定機器の周波数帯域による影響について及びプローブ近傍に接地した金属板を配置した場合の標準雷インパルス電圧(1.2/50μs)の測定値への影響について実験を行った。
表1 使用機器
3.結果・考察
直流、交流電圧測定については、1から10kVの範囲の出力に対して1%以内で測定できた。雷インパルス電圧測定については、方形波の立ち上がり測定の結果から、周波数帯域により数ns程度遅延することを確認した。ただし、雷インパルス電圧測定に大きな影響を与えるほどではない。図1に金属板をプローブ近傍3cmに配置したプローブと配置していないプローブの測定結果を示す。図より、波高値に違いが認められた。この違いは、金属板との距離が5cm以下の場合に認められ、10cmにするとほとんど影響は認められなかった。このことから、プローブ近傍に金属物などがある場合には、プローブの対地容量等への影響により測定に影響を与える可能性がある。今回使用した高電圧プローブについては、周囲の金属等から5cm以上離しておく必要がある。
図1 10kV雷インパルス電圧波形(CH1: 金属板なし CH2: 金属板との距離3cm)
4.まとめ
高電圧プローブを用いた電圧測定に関する実験を行った。今回の実験では、直流、交流電圧測定については大きな問題はなかった。雷インパルス電圧については、周波数帯域に大きな影響を与えるような要因はなく20MHzでも十分測定できることを確認した。プローブの周囲に金属等が配置されるような条件では、プローブの対地容量が変化し測定に影響を与える場合がある。測定時にはこのような影響を受けないよう、使用するプローブの特性について理解しておく必要がある。今回使用したプローブについては、測定時に影響の少ない配置にしたうえで測定する必要がある。今後もこのような測定の信頼性向上を目指した取り組みを行っていく。