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CEマーキングの要否
Q31: CEマーキングを要求する製品指令のどれにも該当しませんでした。CEマーキングの対象外と考えて、何もしなくて良いですか?
いいえ。
CEマーキングを要求している製品指令は欧州整合法令の中の一部です。CEマーキングを要求する製品指令のどれにも該当しなかった場合でもCEマーキングを要求していない製品法令に該当することが考えられます。
例えばGPSD(一般製品安全指令)です。いわゆる製造物責任の考え方です。リスクアセスメントを行い、最低限の安全性を確保することが求められます。
【参考情報】
【関連項目】
- Q30:CEマーキングにおけるリスクアセスメントの考え方について教えてください。
Q32: 保守部品にも「CE」の表示マークは必要ですか?
保守部品ですので、既に納入されたCEマーク付きの製品の部品だと思われます。この場合、すでに納まっている製品専用の部品であることを明確にできればCEマークは不要です。
ただし、RoHS指令への対応は必要ですので要注意です。また、機能アップに繋がるような部品交換は元々の製品のCEマークに関係しますので、できません。
部品そのものにCEマークが必要とされている場合や、汎用性があると認められた場合はCEマークを要求される場合があります。専用である旨を説明できることが重要です。
Q33: 当社は機械のセットメーカーに機械部品を納入しています。機械部品のような組み込みパーツもCEマーキングの対応は必要ですか?
一般的に、ブルーガイド(外部リンク) 2.2項に記載されているように、EU域内における最終製品への組み込みを意図した部品であれば不要と思われますが、CEマーキングが必要な場合もありますので注意してください。
回答としては下記の3パターンが想定されますので、それぞれに対して解説します。
- 国内で製造した部品を国内のセットメーカーで組み立てた製品をEUに輸出する場合
CEマーキングは不要です。
ただし、国内セットメーカーから、規格への適合確認が求められる場合があります。 - 国内で製造した部品(動力を持たず、単独で動作しない部品)をEUに輸出し、EUのセットメーカーで組み立てる場合
CEマーキングは不要です。
ただし、部品が機械類の半完成品である場合は、DoI(半完成品の組み込み宣言書)を求められる場合があります。 - 国内で製造した部品(動力を持ち、単独で動作する部品)をEUに輸出し、EUのセットメーカーで組み立てる場合
CEマーキングの対応が必要です。
この場合は、部品に対して機械指令あるいは低電圧指令、RoHS指令、EMC指令への対応が必要となります。
Q34: EUで開催される展示会への出展を予定しています。展示品にもCEマーキング対応は必要ですか?
CEマークは上市する製品に求められているもので、上市されない製品は実施しなくても良いことになります。
ブルーガイド(外部リンク)に上市とみなさない場合の定義がありますので、それに当てはまるのかを確認する必要があります。ただし、事故が発生した場合の責任は製造者であることに変わりはありませんので、最低限の安全性の確認は行ってください。
上市とみなさない例としては、ブルーガイド(外部リンク)に「貿易見本市、展示会又は実演において管理下で展示又は動作される場合」との記載があります。
Q35: 当社はEU域内に自社工場があります。そこで使用する機器を日本から輸送する場合でもCEマーキングの対応は必要でしょうか?
ブルーガイド(外部リンク)において上市とみなさない場合の一つとしては“自社内で使用する場合”との記述がありますが、同時に“指令を適用する必要がある場合がある”との記述もあります。適用が求められる例としてはEMC指令があります。
EU域内の自社工場に持ち込んだ製品の電源を入れた途端に公共電波が乱れたり、近隣の他事業所の機器が誤動作したりしては問題です。また、自社内といえども現地の従業員が製品を使用する可能性がありますので、安全面も十分に確保する必要があります。
CEマーキングの目的は“欧州指令に適合していることを示し、EUの消費者安全、健康または環境の要求事項に適合していることを示すためのマーク”です。
従って、自社内で使用する機器であってもCEマークは必要あるいは同等の対応が必要と考えた方が良いでしょう。
Q36: EUの企業から特注で産業機器を受注しました。CEマーキング対応は必要ですか?
CEマーキングの原則は欧州における人や財産、環境を守ることです。
従いまして、特注といえども上市する以上、CEマーキングは必要です。
Q37: 当社は研究室で使用する分析機器(電子顕微鏡など)を製造しています。上市とみなさない場合として研究目的で使用する機器とありますので、CEマーキングの対象外とみなして良いでしょうか。
いいえ。
ここで述べられている”研究目的で使用する機器”とはその機器そのものを研究することを言っています。例えば、カスタムメイドでその研究所に納め、その機器の機能や性能、特性を評価する場合などに限定されます。(この場合でも最低限リスクアセスメントを実施し、必要な対策は取った方が良いです) 分析機器のように量産して色々な研究室に納入されるような機器は”研究目的で使用する機器”には当たりません。
Q38: 英国がEUを離脱しましたが、英国に製品を輸出する場合は「CE」の表示マークで通用しますか?
はい。
指令によってできないものもありますが、2022年12月31日まではUKCAマークが無くてもCEマークを表示した製品の多くは出荷できます。
英国政府は2021年1月1日からのEU離脱に関し、移行期間終了後に適用される新しい製品安全・品質などの基準適合マーク(UKCAマーク)を2019年2月2日に公開し、そのガイダンスを2020年9月1日に公開しました。UKCAマークはEUのCEマークに代わるもので、現在のCEマーク対象製品の大半が引き続き対象になります。
ただし、北アイルランドは対象外です。北アイルランドでは、北アイルランド市場で流通させる製品が法令で定められた要件を満たしていることを示すマーク(UKNIマーク)が必要です。なお、UKCAマークの必須要求事項・適合性評価プロセス・使用規格はCEマークと同様で、CEマークは2022年12月31日まで使用可能となっています。
【参考情報】
- 英国政府ガイダンス
Placing manufactured goods on the market in Great Britain(外部リンク) - TIRI NEWS(2021年9月15日掲載)
「UKCAマーキング」表示義務化の延期について - MTEP解説テキスト
英国に上市される製品に対して必要となるUKCAマーキングについて
Q39: EUにCEマーキング適合を必要とする製品をeコマース(電子商取引)で販売したいのですが、CEマーキングの対応だけで上市できますか?
製品へのCEマーキング対応は製造者に課せられた責務ですが、NLF(新しい法的枠組み)において、輸入業者や流通業者の責務も明確化されました。
また、NLFの更なる見直し(規則(EU)2019/2010(外部リンク))においては経済事業者※全般の責務が明確になっており、これらへの対応が正しく行われていることを確認することも製造者が実施すべきことになります。少々複雑ですが、製品へのCEマーキング対応だけでは不十分ということになります。
※ 経済事業者(economic operators)
- EU域内の製造事業者: manufacturer
- 輸入事業者(製造事業者がEU域内にない場合): importer
- 認定代理人: authorised representative
- EU域内のフルフィルメントサービスロバイダー(製造事業者も輸入事業者もEU域内に拠点を持たず、認定代理人もいない場合): fulfilment service provider
【参考情報】
- TIRI NEWS(2021年8月15日掲載)
EUにおける製品安全性と市場監視の強化について