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ICP(誘導結合プラズマ)質量分析装置では、霧状にした水溶液試料をアルゴンプラズマ中に導入し、含有される元素をイオン化します。そのイオンを質量ごと(正確には質量電荷比ごと)に分離してその個数を測定することで、元素の種類および濃度を調べます。金属元素を中心に60元素以上の測定が可能です。
2023年に導入した装置ではこれまでに使用していた装置から性能が大幅に向上し、低いところでppt(ng/L)オーダーでの測定ができるようになりました※1。また、装置付属のソフトウェアを用いることで、試料溶液に分散させた数10 nm程度のナノ粒子について粒径解析を行うこともできます※2。
※1 試料溶液、測定元素、共存元素などの特性に大きく依存します。
※2 参照試料として粒径が既知の粒子が分散した溶液が必要です。
ICP質量分析装置(2023年導入)
レーザーアブレーションICP質量分析装置は、その名称のとおりレーザーアブレーション装置とICP質量分析装置を組み合わせた装置です。レーザーアブレーション装置にて、固体試料にレーザー光を照射することで試料の一部を微粒子化します。その微粒子をヘリウムガスなどで搬送しICP質量分析装置へ導入して測定することで、分析試料に含まれる元素の定性分析※3を行うことができます。都産技研で使用している装置では、10~数10 μmの領域についてppm(μg/g)~wt.%の元素を局所分析できます※4。また、レーザー光を走査することで線分析を、適切な参照試料があれば定量分析※5を行うことも可能です。
※3 どのような元素が検出されるかを調べる分析。
※4 どこまで低濃度を分析できるかは、測定元素、共存元素などに大きく依存します。
※5 元素の量(濃度)を調べる分析。
レーザーアブレーションICP質量分析装置
ICP質量分析装置でセシウムを測定した例。1 pptのセシウムを十分に検出。
ICP質量分析装置および付属の解析ソフトウェアで市販の金ナノ粒子の粒径解析を行った例。
レーザーアブレーションICP質量分析装置で着色部が生じたガラス上を線分析した例。図中の破線のように着色部を横切るようにレーザー光を走査。着色部(走査距離300–500 μm付近)では正常部と比べて組成が顕著に異なることが判明。
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