パワーエレクトロニクス回路と電子基板レイアウトの両方が解析可能なシミュレーションソフトウェアです。電子基板の特性を含めて解析することでより高精度なシミュレーションが可能となります。本稿では、スイッチング電源回路のシミュレーションやEMC対策の活用事例を紹介します。
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近年のパワーエレクトロニクス回路は、小型化・軽量化のため、高速のスイッチングが求められています。大電流・大電圧回路における高速スイッチングは、電子基板や電子部品の影響で、不安定な回路動作やEMCの悪化が懸念されます。そのため、シミュレーションであらかじめ動作を検証することが重要です。
パワーエレクトロニクス回路解析ソフトウェア(ADS PEPro)では、回路解析と電磁界解析の連成解析が可能です。電磁界解析では電子基板のレイアウトをモデル化し、回路モデルと組み合わせてシミュレーションが可能です。
図1 連携イメージ
電子基板の寄生インダクタンスや寄生キャパシタンスはモーメント法注1による電磁界解析で高速に求めることができます。電流や電圧の分布を可視化することで、修正すべき箇所を特定し、電子基板の修正前後の回路動作をシミュレーション上で比較検証できます。
注1 モーメント法は、フル3次元の電磁界ソルバ(有限要素法やFDTD 法等)に比べて高速で、平面多層構造の解析に向いています。
図2 スイッチング電源回路の解析例
ADS PEProには標準に疑似電源回路網(LISN)モデルも含まれております。伝導エミッション等に向けたEMC対策の活用にも期待ができます。
また、EMCの対策部品は部品モデルが公開されていないことが多々あります。当センターではインピーダンスアナライザやネットワークアナライザを所有しておりますので、電子部品の特性が不明な場合、測定結果から回路モデルを作成しシミュレータに取り入れることが可能です。
図3 LISNの回路モデル(左、中央)と回路モデル作成可能なインピーダンスアナライザ(右)
パワーエレクトロニクス回路では基板レイアウトも含めてシミュレーションすることが重要です。当該シミュレーションソフトウェアはパワーエレクトロニクス回路設計やEMC対策に活用が期待できます。
当該シミュレーションソフトウェアは機器利用やオーダーメード技術支援でご利用可能です。皆さまのお問い合わせを心よりお待ちしております。
※本稿内の画像は、キーサイト・テクノロジー株式会社よりご提供いただいたものです。
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