分光蛍光光度計FP-8600(日本分光株式会社製)は、試料に光を照射した際に発せられる蛍光の強度を測定することができる装置です。蛍光試薬を用いた各種の定量試験や有機材料の蛍光特性の評価、食品のグレード判別など、多くの用途で活用することができます。
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物質の中には光が照射された際にエネルギーを吸収し、そのエネルギーを異なる波長の光(蛍光)として放出するものがあります。分光蛍光光度計では、このようにして発せられた蛍光の強度を測定することができます。蛍光を発する物質は比較的限られている上に、励起波長と蛍光波長が一致する物質はごくわずかであるため、蛍光分析は高い選択性を有しています。
図1に示すように、都産技研では(A)液体試料用の石英セル、(B)粉末試料用のセル、(C)固体試料用ブロックを用意しており、各種試料の測定が可能です。
図1 蛍光測定用の各種の試料セル
励起光の波長を一定にして、蛍光波長を走査して得られるスペクトルを蛍光スペクトルといいます。蛍光スペクトルは励起波長の違いによって変化することがないため、試料の蛍光特性を示す指標となります。
代表的な酸化還元指示薬であるレサズリンの蛍光スペクトルを図2に示します。反応前のレサズリンは低蛍光性ですが、還元後のレゾルフィンは584 nm付近にピークを持つ蛍光を発することが確認できます。この試薬は生細胞数や生菌数に応じて還元されることが知られているため、蛍光強度の測定により細胞や微生物数などを評価することもできます。
図2 レサズリンとレゾルフィンの蛍光スペクトル(励起波長:571 nm)
励起波長と蛍光波長の両方を走査して蛍光強度を測定する3D蛍光スペクトルの測定も可能です。得られたピークは含有成分やその量に固有であるため、試料の品質などを推定可能です。例えば、環境水中の腐植物質の分析や食品のグレードの判別などに活用されています。
図3に示した2種類のアルコール飲料の3D蛍光スペクトルから、その種類の違いにより蛍光のピークや強度が異なることがわかります。実際に3D蛍光スペクトルを用いて試料の品質を推定する際には多変量解析を行い、その違いを統計的に示します。
図3 アルコール飲料の3D蛍光スペクトル
仕様および利用料金については設備ページをご覧ください。
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