都産技研では、2021年4月より新たに「デジタル化推進室」を設立しました。設立の経緯や取り組みの内容、今後の展望について、デジタル化推進室の谷口 昌平 室長に話を聞きました。
官民ともにデジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れが急速に進んでいます。東京都では今年4月にデジタルサービス局が発足し、DX推進に向けて「5つのレス(ペーパーレス、はんこレス、キャッシュレス、FAXレス、タッチレス)」に取り組んでいます。また、国も今年9月にデジタル庁の創設を予定しており、行政のデジタル化を進めようとしています。
都産技研でも、中小企業から「IoTやAIを使って効率化ができないか」という相談を受けることが増えてきました。製造プロセスや販促部分をDX化することで、業務効率化やコスト削減を図る動きがあるようです。家電がネットにつながることが当たり前になったいま、今後はDXを念頭においた製品開発も求められるでしょう。都産技研では2020年11月に「DX推進センター」を立ち上げ、中小企業のDX推進を支援しています。
DX推進センターオープニングイベントの様子
ここで立ち返って考えるべきなのが、私たち都産技研自体のデジタル化です。各種手続きにおいては未だ紙による申請が行われていますし、東京都の「5つのレス」に照らし合わせると改善すべき余地が多く残されています。DX推進を支援している側ですから、自らも積極的にデジタル化を進める必要があるでしょう。
そこで、都産技研では今年度より「デジタル化推進室」を立ち上げ、所内の業務プロセスのデジタル化を推進することとなりました。メンバーは私を含め9名おり、既存システムの維持管理に携わっていたメンバーや、IoT(Internet of Things)や研究開発の知見を持つメンバーで構成されています。
デジタル化推進室がまず取り組むのは、あくまで「デジタル化」であって、「DX」はその先の話になります。デジタル化とDX、どちらもよく耳にする言葉ですが、改めて違いを説明しようと思うとなかなか難しいのではないでしょうか。
デジタル化とDXの違いは、自動車で例えると分かりやすいと思います。今、自動車の分野では自動運転が盛んに研究されています。これまで人が運転していた部分が、ITによって自動化される。言うなれば、ここまでが「デジタル化」です。
運転が自動化され、さまざまなデータが収集されれば、これらを利用したサービスが生まれるでしょう。「移動する」という概念自体が変わり、新しいビジネスが生まれるかもしれません。このように、デジタル化によって今までと全く違うやり方が生まれるのが、「DX」の意味するところになります。
繰り返しになりますが、都産技研はまだ「デジタル化」の段階です。既存システムの維持管理やセキュリティ対策、運用ルールの整理といった足元の改善をはじめ、「5つのレス」の推進、間接部門の業務効率化などに、デジタル化推進室として取り組んでいければと考えています。
デジタル化による働き方の改善も、デジタル化推進室の大きなテーマです。
コロナ禍になり、都産技研でも在宅勤務の対応が始まりました。感染対策をきっかけに始まった在宅勤務ですが、通勤にかかる時間の有効活用や、子育てや介護のしやすさなど、数多くのメリットがあります。デジタル化推進の一つとして、自宅にパソコンやネット環境がない職員にPCやスマートフォンを配布するなど、在宅勤務の環境整備にも取り組んで行ければと思います。
また、DX推進センターをはじめ、IoTやロボティクスなど、都産技研にはデジタル化やDXに関わる多くの技術シーズがあります。将来的には、これらの連携も視野に入れています。自分たちが開発した技術を自分たちも活用できれば、有用性の証明にもなりますし、中小企業の皆さんにも安心してご利用いただけるでしょう。
デジタル化の推進とその先のDXを通じて、よりサービスの質を向上させ、利用者の皆さまに還元できればと思います。
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デジタル化推進部デジタル化推進室
室長
谷口 昌平(たにぐち しょうへい)
※記事中の情報は掲載当時のものとなります。