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CEマーキングへの対応
Q21: CEマーキングをするまでにどのくらいの費用が掛かりますか?
一概には言えません。
開発当初から指令への適合を考えた製品と、何も考えずに開発し、適合までに繰り返し作り直しをする製品では自ずと費用が異なります。実際の試験費用は第三者試験機関を利用した場合と公設試を使用した場合でも異なります。色々な条件で変わりますので、まずはMTEP相談をご利用ください。状況を確認できれば概算はお話ができるかと思います。
Q22: 技術文書とはどのような文書ですか?
文書を新たに作成しなくても対応できる場合が多いです。
技術文書はその製品の開発・設計に関係する書類をまとめたものです。回路図、配線図、機構図、配管図などや、設計計算書、実験の記録、部品表など多岐にわたります。文書管理の仕組みがあり、適切に管理されていれば、これらを複写して一つにまとめる必要はなく、一覧でまとめたものでも構いません。すぐに検索でき、改廃管理なども適切であることが必要です。
以下に、技術文書に含める文書の例を示します。
- 製品仕様書 (外観・寸法・定格・設置環境など)
- 総合配線図
- 電気系ブロック図
- 圧力系統図
- 重要部品表 (安全にかかわる部品リストなど)
- 実験・試験データ (IP)
- リスク分析結果
- 取扱説明書
- 表示ラベル一覧 (注意ラベル、定格銘板、会社名など)
- 適合性評価のためのテストレポート
Q23: 規格の改定に気付きませんでした。どうすれば良いですか?
急ぎ、ギャップ分析など適合性の確認を行い、適合性が疑われるようであれば大至急対策を取る必要があります。
その場合、不具合に基づくリスク分析を行い、リスクが高いようであれば通知制度を活用して欧州の機関に届け出を行うと共に対策を講じることになります。リスクが低いようであれば、通常の不具合対策と同じように対策を行ってください。
適合性の問題有無やリスクの高低に関わらず、技術文書と宣言書の修正は、急ぎ必要です。
Q24: 製造を海外で行っていますが、その時の宣言者は海外メーカですか?
宣言者はCE適合宣言を行ったメーカーです。
一般的にはその製品に表示された会社名です。従って、一切ものづくりを行っていない場合でも、製品に表示する会社名が製造者となります。関税法で義務つけられている原産国表示とは異なる場合がありますので注意が必要です。
Q25: 「CE」の表示マークがついた部品を使用すれば、完成品はCEマーキング対応と考えて良いですか?
いいえ。
CEマークが付いた部品を集めて製品を作っても、その製品が指令や規格を満足していることにはなりません。CEマークがついている部品が、何に基づいてCEマークを実施しているのかを調べる必要があります。
また、その部品の仕様が、使用条件と同じかそれ以上である必要があります。例えば、その部品の使用温度範囲の仕様が10℃から30℃なのに、使用する製品の温度範囲が5℃から35℃であれば不適切です。
Q26: 第三者認証機関に適合性評価試験を依頼してテストレポートは発行済です。製品に「CE」の表示マークを貼り付けて出荷できますか?
いいえ。
CEマーキングを実施するためには技術文書の作成が必要です。テストレポートだけでは技術文書とはなりません。決定No.768/2008/EC 附属書IIに技術文書の内容が記載されています。
【関連項目】
- Q22:技術文書とはどのような文書ですか?
Q27: 無線機器を搭載している製品はどのようにCEマーキングの対応をすれば良いですか?
無線機器指令を満足する必要があります。
無線機器指令で宣言した場合、低電圧指令、EMC指令での宣言は不要ですが、無線機器指令の必須要求事項には低電圧指令、EMC指令の必須要求事項が含まれています。
従って、宣言は不要ですが低電圧指令、EMC指令の必須要求事項を満足することが求められます。
Q28: EMC指令の適合性評価試験のデータにマージンはありませんでしたが規制値を超えませんでしたので、適合と考えて良いですか?
いいえ。
試験実施時の測定の不確かさが存在するため、量産する場合、少量生産の場合、個別生産の場合によって対応が異なります。量産機の場合は複数台の試験を実施し、データのバラツキからマージンを計算する必要があります。少量生産の場合はロットごとに1台試験し、合格していることを確認する必要があります。規制値をオーバーしているようであれば、統計処理が必要です。個別生産の場合はその機器が規制値を満足していれば合格です。
Q29: シリーズ品の場合、適合性評価、技術文書および適合宣言書の作成は1機種ごとに実施しなければならないのですか?
機種ごとの違いを明確にして、代表機種で適合性の評価を行えば、すべての機種で実施しなくても良いと思われます。
代表機種とはその機種で評価を行えば、他の機種の評価にも適用できると判断した機種です。その考え方は技術文書に残してください。 技術文書もシリーズ品として作成すれば対応できます。宣言書はシリーズ品をまとめた形で作成すれば機種ごとに作成する必要はありません。
Q30: CEマーキングにおけるリスクアセスメントの考え方について教えてください。
リスクアセスメントは技術文書の一つとして例示されています。
これは、適合性評価に使用する整合規格だけでは、その製品が持っているリスクを全て評価できるとは限らないからです。先ずリスクアセスメントを実施し、リスクが許容範囲内かどうかを規格で評価するという捉え方です。適合性評価を実施した結果、適合していればリスクが許容範囲内であると言えます。実施方法に関しては世の中に色々あり(リスクグラフやリスクマトリクスなど)、どれを使用しても良いかと思います。日本ではR-MAP法が推奨されています。
なお、指令によっては実施方法が定められているものもありますので、注意してください。
基本的な考え方は下記の3段階(危険源の洗い出し、リスクアセスメント、3ステップメソッド)です。
危険源の洗い出し:下記の条件で洗い出してください。
- 意図された用途
- 予見可能な誤使用
- 故障状態(単一故障状態)
リスクアセスメント:表にまとめてください。
- リスク解析
- リスク査定
- リスク低減
3ステップメソッド:リスク低減手法は次の順で許容できるまで実施してください。
- 危険源の除去または低減
- 必要な保護手段
- 文書化(表示・取説など)
リスクアセスメントの基本的な考え方
【関連項目】
- Q31:CEマーキングを要求する製品指令のどれにも該当しませんでした。CEマーキングの対象外と考えて、何もしなくて良いですか?