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染色試験
適当な大きさの糸(または生地)を染色し、染色後の糸(または生地)の色を観察する。この試験は比較的簡便であり、また、顕微鏡観察とは反対に、生地全体の情報を知ることができる。ただし、色のついている生地には適用できない。また加工剤や樹脂が付着していると、本来の呈色とは異なる場合がある。
JISに規定されている染色試験はヨウ素・ヨウ化カリウム溶液を用いる方法であるが、この他に繊維鑑別用の染料が数種類市販されている。ここではヨウ素・ヨウ化カリウム溶液による染色の他にボーケンステイン(財団法人日本紡績検査協会より市販されている)による染色方法について解説する。
ヨウ素・ヨウ化カリウム溶液による染色
1)ビーカーにヨウ素・ヨウ化カリウム溶液(飽和ヨウ化カリウム溶液にヨウ素20gを溶解したもの)をとる。
2)試料を入れたのち、なるべくムラにならないように溶液を浸透させ、30秒から1分間浸漬後、十分水洗する。
ボーケンステインによる染色
1)水100mLに対し、5mLのボーケンステインを加える。これを染色液とする。
2)煮沸した染色液に試料を加え、2分間煮沸する。染色後、十分水洗し、風乾する。
染色後、いずれの場合も繊維の色を確認する。可能ならば既知の繊維といっしょに処理すると色を比較しやすい。
左の写真はヨウ素・ヨウ化カリウム溶液およびボーケンステインで多繊交織布を染色したものである(写真のため、本来の色相とは若干異なるので注意)。