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ヨウ素およびヨウ素イオンの検出
ヨウ素は水に溶けにくいが、ヨウ化カリウム水溶液には容易に溶解し、褐色を呈する(これにアルコールを加えたものがヨードチンキである。ヨードチンキについてはこちら)。一方、四塩化炭素には容易に溶け、溶液は紫色を呈する。したがって、ヨウ素+ヨウ化カリウム水溶液を四塩化炭素で抽出すると、四塩化炭素層は紫色を呈するようになる。これを利用してヨウ素を検出することができる(でんぷん水溶液を用いた簡便な方法はこちら)。
ヨウ素イオンは亜硝酸塩で酸化するとヨウ素を遊離する。また、銀イオンと反応し、黄色沈殿を生じる。これらを利用してヨウ素イオンを検出することができる。前者の方が操作は煩雑であるが、反応は鋭敏でわかりやすいので、基本的には前者を行う。
試験方法(1):ヨウ素の検出
1)変色部を蒸留水でしめらせて抽出する。なお、乾燥している場合は、いったん霧吹きで水を噴霧し、2から3分放置してから行うと抽出されやすい。
2)1)の抽出液を約2mL試験管にとる。このとき褐色を呈していれば、汚染はヨウ素とヨウ化カリウムの混合水溶液(例えばヨードチンキ)によるものと推定できる。
4)水層中にヨウ素が含まれていれば、四塩化炭素層は紫色となり、水層の褐色は淡色化する。
試験方法(2):ヨウ素イオンの検出(硝酸銀水溶液による)
この反応はヨウ素の存在は妨害とならないが、ヨウ素を除去して試験を行うことが望ましい。
5)上記試験の3)から4)の操作を、水層の褐色および四塩化炭素層の紫色が消失するまで繰り返す。この操作により水層中のヨウ素の大部分が除去される。
7)8%硝酸銀水溶液を数滴滴下する。黄色に濁ればヨウ素イオンの存在を示す。写真のように、この反応はそれほど鋭敏ではないので、後述の試験を行うことが望ましい。
試験方法(3):ヨウ素イオンの検出(亜硝酸塩による)
この反応はヨウ素の存在が妨害となるので、ヨウ素を除去して試験を行うこと。
8)上記試験5)の水層を約2mL試験管に取り、氷酢酸1滴、亜硝酸ナトリウム0.01gを加える。このとき、ヨウ素が存在していれば褐色となる。
9)四塩化炭素を約2mLとり、激しく振とうする。ヨウ素イオンが含まれていれば、四塩化炭素層は5の四塩化炭素層と比較して濃色(紫色)となる。