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塩素損傷ポリウレタンの確認
ポリウレタンが塩素の作用を受けるとアミノ基の水素が塩素と置換反応を起こしてクロルアミンを生成する。このクロルアミンはヨウ化カリウムデンプン液と反応し、褐色となる。このことを利用しポリウレタンが塩素により損傷したかどうか判別できる。なお、この反応は洗濯後も見られる。
また、ポリウレタンの種類によっては、塩素により黄色から赤色に変色するものやヨウ化カリウムデンプン液を滴下するとヨウ素を遊離し濃紫色となるものもある。
試験方法
1)損傷部をよく洗浄した後に糸を採取する。洗浄するのは残留塩素とヨウ化カリウムデンプン液が反応するのを防ぐためである。
なお、写真はポリウレタンのみで行っているが、実際の場合は損傷部と正常部の糸をカバリング糸ごと採取してかまわない。
2)ヨウ化カリウムデンプン液(でんぷん1.5%、ヨウ化カリウム0.3%、塩化カリウム20%の水溶液)を一滴滴下する。
3)損傷糸と未損傷糸の色を比較する。塩素の作用を受けたポリウレタンは正常のものと比較して褐色に呈色する。
以下にポリウレタンが塩素により変色した事例とヨウ化カリウムデンプン液滴下によりヨウ素を遊離し濃紫色となった事例を示す
1)正常部および損傷部の糸を採取する。
2)正常部と損傷部のポリウレタンを光学顕微鏡で観察する。ポリウレタンの種類によっては、塩素の作用により黄色から赤色を呈している。
3)ヨウ化カリウムデンプン液(でんぷん1.5%、ヨウ化カリウム0.3%、塩化カリウム20%の水溶液)を一滴滴下する。
4)正常部と損傷部のポリウレタンの色を比較する。ポリウレタンの種類によっては、塩素の作用によりヨウ素を遊離し濃紫色を呈する。
5)4)の糸をプレパラートで観察すると、ポリウレタン糸周辺が紫色となっている。これは、塩素の作用によヨウ素が遊離したためである。