硫酸銅水溶液による処理

染料やフィックス処理剤には金属を配位しているものがあるが、これらのうち比較的結合が弱いものはヒスチジン等のアミノ酸や乳酸など、金属と配位結合するような物質の作用により脱金属を起こし、色相が変化する。この変色部分に元の金属イオンを与えると、染料と金属イオンが再び配位結合を生じ、もとの色に復色する。このことを利用して変色が脱金属によるものかどうか判断できる。

なお、金属により色相が変化した場合、EDTA等の金属イオン封鎖剤で処理すると変色部分が再現される（詳細はEDTA水溶液による脱金属処理参照）。

試験方法

1）あらかじめ正常部より試料を採取し、EDTA水溶液(5g/L)で煮沸処理を行う。

2）乾燥後、色相が変化（変色部と類似）した場合は、次の処理を行う。

3）あらかじめ、0.5%硫酸銅水溶液で正常部が変色しないことを確認した後、変色部について、当該水溶液によりしみ抜きをおこなう。

4）しみ抜きした箇所が正常部の色相に復色した場合は、変色は脱金属によるものである。なお、硫酸銅は水溶性なので、処理後は水洗により残留硫酸銅を除去する。