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カビ等の顕微鏡観察

印刷用ページを表示する 更新日:2016年12月19日更新

カビに侵された繊維は繊維表面や内部に胞子や菌糸が存在する。よってこれらを光学顕微鏡で確認することにより、カビによる事故と推定できる。洗濯後の場合、繊維表面の菌糸や胞子は脱落しているが、繊維内部の菌糸は残留しているため、光学顕微鏡で観察可能である。

なお、セルロース繊維の場合は繊維とカビを染め分けることにより観察が容易となる。

 試験方法

試料を採取する様子を示す写真

1)脆化または変色部より糸を取り出す(5mm程度)。

 

カビの菌糸を示す顕微鏡写真

2)プレパラートを作製し、光学顕微鏡で観察する。カビによる損傷を受けた繊維は繊維表面や内部に細い糸状のもの(菌糸)が観察される。なお、倍率は最低でも200倍は必要である。はっきりと確認するには500倍以上、あるいは電子顕微鏡を使用する。

 セルロース繊維と菌糸の染色

プレパラートに赤色の試薬を滴下した写真

3)2)で作製したプレパラートに1%サフラニン水溶液を滴下、常温で数分処理し、綿サイドを染色する。処理後はよく水洗すること。洗浄が不十分だと、後の処理で沈殿を生じてしまうためである。

 

プレパラートに濃紺色の試薬を滴下した写真

4)1%アニリンブルー水溶液とピクリン酸飽和溶液を1:4で混合したものを滴下、常温で数分処理し、菌糸サイドを染色する。

 

2種類の試薬で染色した繊維の顕微鏡写真

5)2)と同様に光学顕微鏡で観察する。セルロース繊維は赤色に呈色するのに対し、菌糸は青色に呈色する。

 

 


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