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酸化剤による損傷
印刷用ページを表示する 更新日:2018年1月5日更新
解説
素材
酸化剤による損傷でクレームとなるのは、主にセルロース系繊維、ナイロン、ポリウレタンで、特にセルロース系繊維が多い。絹や通常のウールも損傷するが、洗濯やクリーニング等の消費過程での事故は少ない。
外観
- セルロース系繊維
セルロース系繊維の場合は酸素系による漂白時に事故が起こる場合が多い。この場合、金属が存在している部分(例えば反応染料で金属を含む染料により染色された部分、含銅フィックス処理された部分、艶消し剤の使用されている部分、金属汚れの付着していた部分など)のみ損傷が生じている。 - ナイロン
ナイロンの場合、活性塩素の作用により黄変を生じるため、漂白には基本的に塩素系漂白剤を使用しない。したがって事故は酸素系による漂白時に起こる場合が多く、特に高温で処理することにより損傷が大きくなり、クレームに至る。発生部位は特に決まっていないが、セルロース系繊維の場合と同様、金属が存在している部分は損傷の程度が大きい。
試験
- セルロース系繊維
酸素系漂白剤+金属による事故の場合、漂白後に洗浄することや、漂白時に金属が流出してしまう場合が多いため、ハリソン試験による損傷繊維の検出のみ(これも流出してしまうこともある)となる場合が多い。この場合、酸や光による作用を受けても同様の結果となるため、酸化漂白をしたという状況証拠や外観観察も考慮して判断する。
なお、事故品と同等の新品がある場合は再現試験を行うとよい。 - ナイロン
ナイロンは酸化剤の作用を受けるとアミノ基が減少する。よってKiton Red Gによる染色やニンヒドリン試験によりアミノ基の減少を確認する。ただし、光による損傷の場合も同様の試験結果となるので、酸化漂白をしたという状況証拠や外観観察を考慮して判断する。