顔料染め製品の顔料の脱落

解説

素材

顔料は、染料と異なり、繊維との親和性がないため、繊維表面に接着剤（バインダー）により接着されている。したがって接着剤の選定ミスや熱処理不足によって、ドライクリーニングなどの処理でバインダーの溶解や軟化が生じ、顔料の脱落が起こる。顔料は、基本的にはどんな素材にも使用されるため、事故はどんな素材にも起こりうる。

外観

顔料が脱落し、地の色が露出している。部位はドライクリーニングで生じることが多く、そのため、ほぼ全面に渡って変色していることが多い。なお、顔料部分は一般的に風合いが硬いので、顔料製品かどうかは、さわった感覚で予想できる。

試験

ドライクリーニング溶剤を滴下し、接着剤が軟化したり、溶解したりするかどうかを確認する再現試験が最も有効である。また、接着剤を赤外分光分析等により同定することにより、ドライクリーニング溶剤に耐え得るかどうかを判断することもできる。なお、顔料染めか染料染めかどうかは、光学顕微鏡観察により確認できる（顔料と染料の判別）。